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選挙制度の答申

 衆院議議長の諮問機関「衆院選挙制度に関する調査会」の答申が14日に出された。佐々木毅元東大学長を座長とする専門家揃いの調査会メンバーの論議の末の答申で、さすがと肯ける内容に思える。1票の格差是正についてはアダムズ方式で人口動態に合わせて是正するとした。もともと現行の制度発足の時に、各都道府県に一人別枠方式を採用したところから矛盾があり何度も最高裁などからも指摘されていた。ようやく1票格差是正の具体的方策が示されたわけで、与野党は答申の実現に向けて立法措置を急ぐべきだ。
 問題は定数是正の方だ。答申は小選挙区で6、比例選で4削減するとしている。同時に議員定数は、「国際比較や過去の経緯からすると多いとは言えず、削減する積極的理由や理論的根拠は見いだしがたい」と指摘している。だが各党が選挙公約で国民に約束したことを配慮したという。これは各党への痛烈な批判と受け止めるべきではないだろうか。現に先進7カ国の中で下院の議員一人当たり人口はアメリカを除くと日本が圧倒的に多い。各党は消費税引き上げの際、「身を切る改革」などと言って、定数を減らすことで改革姿勢をアッピールすることに腐心した。立法府と行政府との統治の仕組みをどうするか、議員内閣制のわが国では内閣を構成するため大臣、副大臣、政務官など何十人も政府に送り込むことが必要だ。合わせて国会対応も可能な体制が必要だ。地方議会の定数削減議論とは違った視点が求められる。どのような政党政治の姿を目指すのか、どのような議会や統治の仕組みを想定して制度の設計をするのか、本質的議論がなされないまま、人気取りのための定数削減が公約された。今回の調査会の答申は、定数削減は単なる人気取りのためでない冷静な議論を求めていると、読むべきと思われる。
 各党は今回の答申を受けて、直ちに立法措置に向かうべきだ。一部で報道されている小手先の選挙区の境界調整だけで済ませると将来に禍根を残す。各党、とりわけ影響を受ける議員を多く抱える自民党の決断が求められる。同時に、答申でも言外に感じられるように、衆参合わせた統治の仕組み、選挙制度の議論が欠かせない。数年前、衆参のねじれ現象で「決められない政治」が続き憲法制定時の矛盾が指摘されてきた。国民代表機能を並立して持つ院が二つ存在する国はない。衆参の議決が異なる場合の再可決条件の3分の2は適切かどうかなど、衆参の役割分担を議論することが求められる。衆院は人口比で、参院は地域代表の権利を反映するなどの仕組みにすることも考えられる。
 衆院で今回の答申を立法化することや、参院も数県の合区(10増10減)でとりあえず違憲状態は回避される。だがそれは当面の措置と認識すべきだ。本質的な統治の仕組みや選挙制度の議論を深めることがどうしても必要と思われる。そのために今回のような衆院議長の諮問機関でなく91年の第8次審議会の答申以来、設置されていない第9次選挙制度審議会を立ち上げて衆参含めて、あり方の議論を進めるべきではないだろうか。

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